しばらく前から、新しい職場で働いている。
勤務初日まではびびり散らしていたけれど、始まってみれば、なんだか一日一日が静かに過ぎていくなあ……?
いい職場なのかもしれない。まだ配属されて間もないから、人間関係や仕事の深い闇まではあったとしてもわからない。
けれど、全体的に穏やかな雰囲気が漂っている。
ではどんな職場を想像していたかといえば、全体の1/3の人数は死んだ顔をし、1/3は張り詰めてピリピリギスギス、残りの1/3が取り憑かれたようにガツガツとやっている……まあそんな黒い雰囲気が漂う場所。なんだ地獄か。
働くことに関して、これまでいい思いをしたことがあまりにもなくて、会社とは、そういうところだと思っていた。
教育や研修などまともに受けさせてもらえず、初日からああだこうだ即戦力だと業務を詰め込まれるものと、それが中途入社の人員に対する扱いだと思っていた。
転職とは、ひとつの地獄から名前のちがう地獄に引っ越しする作業のことをいうんだと。
自分もすぐに死んだ顔の1/3の仲間入りをほぼ確信していた。
しかし、今のところはそのような様子はない。不思議だ。
みんなそろって猫をかぶっているのか。自分は当然かぶっているけれども。3枚くらい。
時間が経つにつれ闇がじわじわと見えてくるのかもしれないが、できるだけ今のような心地よい環境が続くといいと思う。
幾度か転職してきた身には、これまでと比較してものすごくホワイトな企業に見えるので、どうか、このイメージが今後も崩れることなくやっていけるといいなあ。
贅沢な願いかもしれないけれど、もう職場のことであれこれ気を揉むのは本当に疲れてしまった。
ただ、穏やかに目立たず働きたいだけ。ほどほどに稼いで、ほどほどに生活できたらそれでいい。
業務時間外に仕事のことは一切考えたくない。
向上心?そんなものは……なくは、ない。けども「会社のために人生を捧げる」というような価値観を持ち合わせていないため、あまりその熱意を業務に向けたくない。
もちろん必要なことは学ぶし、業務が差し障りなく進むように行動はする。
ただ、そこに「やる気」とか「根性」「気合」とかいう単語をくっつけることには嫌悪感がある。
淡々とやることをやればいいでしょう?それ以上に力むと疲れるし、必ず反動はくるでしょう?
平日みっちり朝から夜まで5日間働くという長距離航行をしないといけないのに、そんな燃費の悪くなる単語好きな人が、私は苦手だ。
激しく燃える火は目立つし、周囲にも活力をもたらす。
でも、本人の身も焦がし痛めつける。
並外れたバイタリティを持つ人なら、問題なくぼーぼー燃えながら活躍していけるのかもしれないけれど。
そうじゃない普通~虚弱な人間は、用に足りる最低限の熱量を維持する程度の方が労働寿命を長くできるよね、ということ。
それが、これまでの社会人生活で学んだ大きな成果。
以降、縁の下の……とか、黒子とか、主力プレイヤーの片腕とか、そういうポジションが至高と思うようになった。
自分は金輪際、注目を集めたくないし、期待されるのもつらい。
目立たず騒がず、消えていなくなったときに、ああ、あの人いないと割と困ったな、と思われるくらいがいい。
今の職場ではまさにそういう立場を狙えそうで嬉しい。
平和に稼いで貯金するぞー。

