今月から新しい職場で働いている。
勤務が始まるまではびびり散らしていたが、始まってみればなんのことはない、一日一日が静かに過ぎていく。
いい職場なのかもしれない。まだ配属されて間もないから、人間関係や仕事の深い闇まではあったとしてもわからない。
けれど、全体的に穏やかな雰囲気が漂っている。
ではどんな職場を想像していたかといえば、全体の1/3の人数は死んだ顔をし、1/3は張り詰めてピリピリギスギス、残りの1/3が取り憑かれたようにガツガツとやっている……まあそんな黒い雰囲気が漂う場所。なんだ地獄か。
働くことに関して、これまでいい思いをしたことがあまりにもなくて、会社とは、そういうところだと思っていた。
教育や研修などまともに受けさせてもらえず、初日からああだこうだ即戦力だと業務を詰め込まれるものと、それが中途入社の人員に対する扱いだと思っていた。
自分もすぐに死んだ顔になるものと確信に近いものを持っていた。
しかし、今のところはそのような様子はない。不思議だ。みんなそろって猫をかぶっているのか。自分は当然かぶっているけれども。3枚くらい。
時間が経つにつれ闇がじわじわと見えてくるのかもしれないが、できるだけ今のような心地よい環境が続くといいと思う。
転職を繰り返してきた身には、これまでの会社と比較してものすごくホワイトな企業に見えるので、どうか、このイメージが今後も崩れることなくやっていけるといいなあ。
贅沢な願いかもしれないが、もう職場のことであれこれ気を揉むのは本当に疲れてしまったのだ。
ただ、静かに穏やかに目立たず働きたいだけ。ほどほどに稼いで、ほどほどに生活できたらそれでいい。
業務時間外に仕事のことは一切考えたくない。
向上心?そんなものは……なくはないが、「会社のために人生を捧げる」というような価値観を持ち合わせていないため、あまりその熱意を仕事に向けたくない。
もちろん必要なことは学ぶし、業務が差し障りなく進むように行動はする。
ただ、そこに「やる気」とか「根性」「気合」とかいう単語を入れるのが大嫌いなのだ。虫唾が走ると言ってもいい。
淡々とやることをやればいいでしょう?それ以上に力むと疲れるし、必ず反動はくるでしょう?
平日みっちり朝から夜まで5日間働くという長距離航行をしないといけないのに、そんな燃費の悪くなる単語を使うのが好きな人のことが、私は嫌いだ。
激しく燃え盛る火は目立つし周囲にも活力をもたらす。しかし燃料がたくさん必要だし、本人の身も焦がし痛めつける可能性もある。
用に足りる最低限の熱量を維持する程度の方が寿命を長くできるよね、ということ。
それが、これまでの社会人生活で学んだ大きな成果。
以降、縁の下の…とか、黒子とか、主力プレイヤーの片腕とか、そういうポジションが至高と思うようになった。
自分は金輪際、注目を集めたくないし、期待されるのもつらい。目立たず騒がず、消えていなくなったときに、ああ、あの人いないと割と困ったな、と思われるくらいがいい。
今の職場ではまさにそういう立場になれそうで嬉しい。
平和に稼いで貯金するぞー。
まずは1週間目の記録。